近年、インターネットの普及で以前では手に入れることが困難だった様々なブランド・ミニチュアカーが簡単に購入できるようになりました。このページでは現在人気のヴィンテージ・ミニチュアカーの各ブランドを簡単ではありますがご紹介させて頂きます。皆さまのミニチュアカー・コレクションのご参考にでもなれば幸いです。

FRENCHI DINKY TOYS(フランス)
1912年、イングランド・リバプールで産声をあげた玩具メーカー、メカノ社。その分工場としてフランスに設立されたフランス・メカノ社。マニアックなディテールでコレクターからの絶大なる人気を博している。フランス・ディンキーの特徴はいくつもありますが最大の特徴は実車に忠実なディテールと幅広いバリエーションが存在することでしょう。特にシトロエンやプジョー、ルノーそしてもはや現存しないシムカ、パナールなど魅力に溢れた実車をモデル化しています。これらは現在、国内では非常に人気のあるモデルとして注目されています。ディンキーはフランスとイギリス、そしてスペインと分けられますが、それぞれのミニカーを比較すると方向性の違いはありますが、拘りの強さはフランス・ディンキーが一枚上手。生産終了までスピードホイールには目もくれずディテールに拘り続けたその姿は素晴らしい企業理念の現れです。フランス・ディンキーは生産終了から数十年の時が過ぎていますが、更なる輝きを増している素晴らしいミニカーです。既に絶版品となりミントコンディションものは高価ですがミントモデルでなくてもぜひ一度手に入れてみて下さい。世界のミニチュアカーのスタンダードと言われる理由がわかります。

DINKY TOYS(イギリス)
ミニチュアカーの歴史の中で燦然と輝くディンキー。そのルーツたる英国ディンキーは1933年メカノ社が鉄道模型のアクセサリーとして初めて手懸けた22シリーズがミニチュアカーのスタートであった。翌年の34年にディンキー・トイズの名称が付きこれ以降の全てのモデルにディンキートイズの刻印が使われた。1958年にはNo176オースチンA105サルーンに初めて透明プラスチックのウインドーが付けられた。その後もホワイトタイヤ、金属製ホイールなどを採用している。また最初のサスペンション機構は1959年No150ロールス・ロイス・シルバーレイスに使用された。その後もコーギーやソリドといったライバル社の影響もあり次々とギミックを開発・採用を行った。しかし1964年ディンキー社はスポット・オンの創設社であるラインズ・ブラザーズに買収された。以降はアメリカ市場を意識したあの醜いスピードホイールの使用など完全に子供を対象とした商品展開を行い、もはや大人のコレクターの対象にならないミニカーへと変わっていった。英国ディンキーのミニチュアカーは初期モデルで見られるなんとも素朴な味わいが最大の魅力。またラインナップも英国車を意識したバリエーション展開で英国車マニアにはこたえられない魅力だ。フランス・ディンキーとはまた違った味わいが楽しめるクラシック・ディンキーをぜひ一度手に入れてみてはいかがでしょうか。

CORGI TOYS(イギリス)
ディンキーに対抗するブランドとして1956年に発売されたのがコーギー・トイズである。コーギー初のミニカーはイギリスの乗用車、フォード・コンサル。このミニカーは最大のライバルであるディンキー製ミニチュアカーとの差別化を図るためプラスチック製のウインドーが付けられた。また1960年から発売されたアストンマーチンはボディーに初めて開閉パーツを取り付けエンジンまで表現した。このモデルは100万個が販売され好セールスを記録。コーギーはこの後も様々なアクション機構を採用し他のメーカーがそれらを真似するようになった。魅力的なギフトセットやジオラマパーツなども販売されていました。コーギーは様々なミニチュアカーを商品化していくが1965年から映画やテレビのタイアップ・モデルを発売。記念すべき第1号は「ザ・セイント」のボルボP1800クーペだった。そしてコーギー・ミニチュアカーの最大のヒット作となった第二弾、映画007ゴールドフィンガーでボンドカーとして登場した「アストンマーチンDB5」である。ボンドカーならではのアクションギミック満載で「コーギーで最も価値のあるモデル」と賞されている。1968年のニューバージョンに切り替えられるまでに約400万個が販売された。この後も魅力的なモデルを数多く手がけたコーギーは1993年に英国製・コーギーの最後を迎える事になった。現在のコーギー製ミニチュアカーは中国を拠点とするジンダルト社が中国で生産を行っている。

SOLIDO(フランス)
フランスを代表するミニチュアカーブランド。60年代〜70年代のソリドはダイキャスト製モデルならではの重量感と実車さながらのアクション機構を採用したモデルが醍醐味。また良好なプロポーションで再現されるレーシングカーも魅力的だ。自国のマトラ、フェラーリ330P、ポルシェ906などは素晴らしい仕上がりで今尚人気の高いモデル。市販車モデルも数多く手がけている。特にランボルギーニ・ミウラやNo165フェラーリ・デイトナ、アバルト等は高い人気を誇っており市場でもハイプレミアムな価格で売買されている。生産台数が比較的多いのでビンテージ・モデルも集めやすい。紙製パッケージの青い瞳をした小僧が印象的。ソリドはたくさんの車種をモデル化しているのでゆっくりと丹念に探すのがコツ。また、ダリヤ・ソリドはスペイン製でカラーバリエーションや車種設定が微妙に違うので合わせて集めるのも面白い。VEREMはソリドの金型を再利用した廉価版の別ブランド。最近は復刻版として旧モデルをリーズナブルな価格で販売している。
画像はロータスF1で小粒ながら魅力的なミニチュアカー。

SPOT-ON(イギリス)
ラインブラザースグループのトライアング社の製品で、全て1/42の統一スケールを採用している。種類が非常に多いのが特徴だが中でもフリスキー、ゴッゴモビル、ジェンセンなどのミニチュアとしては他に類のない珍しい車種がある。一時はディンキーの金型を使用していたのは有名な話。ビンテージマニア向けのミニチュアカーで生産台数が少ないため現在では高価格で売買されています。近年ノレブ社が復刻版モデルをリリースしている。
※画像はアストンマーチンDB3

MATCHBOX(イギリス)
トッテンハイムにおいて1947年設立。製品はマッチボックス・シリーズとして小スケールモデルの代表として世界的に有名。一連の1〜75台をシリーズ販売していた。当初はモデルが小さいためコレクターからは玩具視されていたが、近年ではビンテージ・モデルとして高い評価を得ている。ミニチュアカー専用のケースや魅力的なジオラマも販売され、70年代後半には1/43キングサイズ・シリーズも販売されていました。スピード・ホイル仕様も初期モデルやカラーリングがレアなモデルはコレクターの間で高価格で売買されています。

BUDGIE(イギリス)
商業者を中心に種類も多く製作しているが縮尺率が一定ではなく、またモデルの出来、不出来が激しい。傑作品にウーズレイポリスカー、ダイムラー救急車がある。現在ではあまり見かけない貴重なブランド。
※画像は代表的なモデルのロンドンバス。

CIJ(フランス)
フランスでは大手の玩具メーカー。元来はブリキ玩具を主としていた。フランス車を多く手がけているが商用車も数多く製作している。独自のデフォルメで現在CIJのモデルがフランス本国をはじめ日本国内でも人気が高くシトロエン・シリーズなどは高値で売買されている。近年ノレブ社が復刻版モデルをリリースしている。
※画像はパナール・ディナ・ジュニア

JRD(フランス)
パリに本社を持つ金属玩具メーカー。ミニチュアカーにはシトロエン・シリーズが非常に豊富。シトロエン全車種の約8割をモデル化している。スクリーンやシートの無いモデルも多いがプロポーションはしっかりしており、特に2CVモデル等は味わい深い。こちらも近年ビンテージ・モデルとして高値で売買されている。
※画像はシトロエン・11CVトラクション・アヴァン

NOREV(フランス)
このメーカーは1/43モデルの他1/86のミクロシリーズも有名。現在こそダイキャストモデルで精巧なモデルを次々とリリースしているが、昔のプラスチック製モデルも魅力あるミニチュアカーが勢ぞろいしている。やはりフランス車が人気だが一部メルセデスなどのミニチュアカーもマニアの間では人気がある。また、一連のツール・ド・フランス・シリーズは魅力的なモデルが多く大変人気がある。ジェット・シリーズなどは意見が別れるミニチュアカーだが安価で面白いミニカーが存在する。また、コレクションを始める場合も一部を除いては比較的数が多いので集めやすい。
※画像はルノー8

QURALU(フランス)
このメーカのモデルは1960年を最後に生産が中止されたが、近年リプダクション・モデルとして販売された。60年までのミニチュアカーは大変貴重で中でもメッサーシュミットKR200(リプダクションのモデルはドライバーがない)やジャガーXK140などは非常に珍しく人気が高い。独特のデフォルメが特徴でポルシェ356、メルセデスSLなども人気の高いミニチュアカー。
※画像はメルセデス230SL

POLITOYS(イタリア)
1960年代中旬に登場した当時の新興ブランド。イタリアではこの時期他国のブランドに対抗出来るメーカーはマーキュリー1社であった。しかし1965年のミラノ見本市でポリトーイが発表したMシリーズはダイキャストミニチュアカーの世界にセンセーショナルを巻き起こす。実車さながらのメタリック塗装に各部開閉機構など驚異的なクオリティで人々を驚かせた。その後も数々の魅力溢れるミニチュアカーを製作。中でもランボルギーニ・ミウラは驚異の6アクションで他のメーカーに対抗した。68年には他社未踏の裏板まで手が入り更に独自のモデル展開を歩んだ。しかしこれら新しい機構の採用によるコスト高は避けられず、70年にその短い生涯を終える事となる。M・Eシリーズの他に1/66サイズのペニー・シリーズも有名だ。こちらはマッチボックスやトミカより更に小さいモデルだがそのクオリティは驚嘆に値する。このシリーズNo10は日本のホンダF1であるのは有名。こちらの方がポリトーイらしいと言う声も多い。両シリーズとも今となっては生産台数の少なさが影響し状態の良いモデルはなかなか見つけにくいミニチュアカーのひとつでもある。
※画像はフェラーリ250GTルッソ(左側・Mシリーズ/右側・ペニーシリーズ)

MERCURY(イタリア)
マーキュリー社は元来、実車のパーツ類を本業とする異色のメーカー。イタリアのミニチュアカーブランドの中では最も古いメーカー。レース好きの国だけありモデルもレーシングカーが多いのが特徴。ガッチリとした造りも特徴の一つ。フィアットやアルファロメオ、ランチアのモデルはディテールに関しては少し甘い部分も見られますが雰囲気は良好です。日本では商標登録の問題から?メーカー名を削り販売していました。
※画像はマセラッティ3500GTレーシング

MEBE TOYS(イタリア)
60年代中頃に台頭したイタリアのブランド。この時期のイタリア・ブランドはポリトーイに代表されるような多彩なアクションを売りにしていたモデルが多く見られる。メベトーイもその一画を狙うべく様々な魅力あるミニチュアカーを製作している。車種選びもマニアックな車が多い。ランチア・フルビアクーペのエンジン部分にはなんとプラグコードまで再現されているのは驚きだ。ミントモデルは高値で売買されています。
※画像はアルファロメオ・ジュリア・ポリスカー

MARKLIN(ドイツ)
メルクリン社は鉄道模型のメーカーとして世界的に有名。しかしミニチュアカーの製作も1935年とその歴史も古い。初期モデルは全て窓なし、座席なしで一本軸のアクスルの車輪で他のメーカーのような機構は全く取り入れていない。しかし細部のディテールは克明で、プロポーションは正確で素晴らしいミニチュアカーである。車種は少ないが現在でも非常に人気の高いマニア向けのミニチュアカーと言えるだろう。
※画像はBMW507

SCHUCO(ドイツ)
ゼンマイ仕掛けのモデルで有名なシュコー。手がけるモデルもドイツ製自動車がほとんどで、他にはない珍しい車種もミニチュア化している。1/90という小さなピッコロ・シリーズも人気商品。何れのモデルも玩具然とした暖かい雰囲気が残るモデル。ドイツ製らしい実直な造りでマニアを魅了する。価格が少し高いのが難点か。現代では精密な1/43スケールのミニチュアカーもリリースしている。
※シュコーマイクロレーサーミゼットUSA

TEKNO(デンマーク)
北欧を代表するミニチュアカーブランド。モデルにはスウェーデンのボルボ、サーブなどが多く中でもボルボのミニチュアカーは大変人気のあるモデル。どちらかというと大量生産というより質に拘るメーカー。商用車特にトラック類に優れたモデルが多くありテクノ製モデルの代名詞であると同時にその魅力の真骨頂と言えるだろう。ただ、当時としては高価なモデルであったため流通量が極端に少なく、現在の市場ではかなりのプレミアム価格である。
※画像はポルシェ356